Merino wool
どうして、メリノウールなの?
障がいのある子どもたちの家族に生活での困りごとを尋ねると、必ず声が上がるのが「体温調節のむずかしさ」でした。
薬の影響で汗をかきにくく熱がこもる、寝転んでいる姿勢が多く背中だけ汗をかいてしまう、自分で衣服の調節をすることが難しく外気温の影響を受けやすい…などの理由で、一年を通してお子さんの体温調節に気を配っているという声をたくさん伺ってきました。
洋服は、毎日必ず身に着けるものだからこそ、その素材によって少しでも困りごとを解消することはできないだろうか。
さまざまな素材を試した結果、求める全ての機能を備えていたのが 天然素材の<メリノウール>でした。
メリノウールは“天然のエアコン″と呼ばれるほど、体温調節に優れた素材で、登山やスポーツの場面でその機能性が高く評価されています。
冬は空気を含んであたたかく、夏は熱を放出して涼しく過ごすことができる、その特徴をより詳しくご紹介します。
メリノウールの持つ機能とは?
・冬はあたたかく、夏は涼しい
ウールは冬の素材というイメージがあるかもしれませんが、メリノウールは温度・湿度を調節する機能に優れているため、オールシーズン着用可能な素材です。
ウールの繊維はちりちりと縮れており、空気をたくさん含むことができるため保温性に優れ冬はあたたかく過ごすことができます。また、夏は汗を吸って熱や湿気を放出するため、衣服の中が蒸れることなく快適に過ごすことができます。
この季節に応じた温度調節の機能は、羊たちが自然の中で一年中快適に過ごせるよう、備えられた機能なのです。
・サラリと快適
メリノウールは吸湿、放湿性に優れており、汗をたくさん吸ってその水分を発散してくれます。
ウールの吸湿性は綿の約2倍、ポリエステルの約30倍とも言われており、外気との温度差を利用して湿気を発散するため、いつでも繊維の表面をサラリと保ち、快適に過ごすことができます。
・汗冷えしない
ウールの繊維はうろこ状になっており、外側は水をはじき、内側は湿気を吸収します。
汗を吸収しても、ウールは肌に張り付かず、体温が奪われにくいため、汗冷えをすることがありません。
・UVカット機能
メリノウールには天然の紫外線カット機能が備わっています。
・土に還って、環境にやさしい
天然のたんぱく質からできているウールは、微生物によって分解されるため、土に還る環境にやさしい素材です。
・自然由来の抗菌・消臭機能
メリノウールは繊維の表面に撥水性があるため、臭いの原因となるバクテリアや菌の繁殖が起きにくいと言われています。
また、汚れをはじく性質があるためシミになりにくく、静電気が起きにくいのでほこりを寄せ付けづらいといった自然由来の機能によって、衛生的に着用することができます。
ーIKOU Merino Wool Undershirt のこだわり
メリノウールのメリットをたくさん挙げてきましたが、残念ながらデメリットもいくつかあります。
IKOUのMerino Wool Undershirtはこれらの問題を解消するために、メリノウールの中でもさまざまな種類の生地を検証してきました。
・チクチクしない最高品質のメリノウール
ウールと聞くと、冬によく着るニットが思い浮かび、肌に直接触れたらチクチクするのでは…?と感じる方が多いと思います。
このチクチク感には糸の太さが関係しているのです。
糸の細さを表す単位として、マイクロンというものがあり、数字が小さいほど、細い糸であることを示します。17.5マイクロン以下のメリノウールはチクチク感を感じないと言われていますが、IKOUが使っているのは、“スーパーエクストラファインメリノ″という16.5マイクロンの非常に細い糸。
上質素材として有名なカシミヤの糸(13~15マイクロン)に限りなく近いため、とてもなめらかで、柔らかい肌触りに仕上がっています。
・洗濯機で簡単に洗える
ウール100%の素材は洗濯機で洗うと縮んでしまったり、風合いが変わってしまう事が多く、一般的にはドライクリーニングまたは手洗いが推奨されています。しかし、子ども向けの肌着を毎日クリーニングに出したり、手洗いするのは現実的ではありません。
どうにかして洗濯機で洗えるようにしたいと考え、生地メーカーに相談しながら、水洗い可能で、かつ求める品質を満たすウール素材を探しました。候補の生地が見つかったら、自宅で実際に洗濯してみるというテストを繰り返し行い、耐久性を厳しくチェック。
ようやく水洗いできる素材は見つかったものの、洗濯機で洗うと縮みが大きく、このままでは販売できないという新たな壁にぶつかりました。そこで、一度工場で製品洗いを施し、あらかじめ洗って縮めた状態にすることで、課題を解決しています。
左:製品洗い前 右:製品洗い後
ー理想の生地を目指して、追求はつづく
高い機能性をもつ天然素材のメリノウールで、子どもたちが日常生活を快適に過ごせる肌着を作りたい。
その想いを実現するために、毎日身につけるものだからこそ、子どもたちの繊細な肌にもチクチクしない品質でありながら、家庭でも簡単に取り扱えることは、両方とも絶対に譲れませんでした。一方で、それらを両立することは、想像を超える難しいチャレンジでもありました。
ようやく、自信を持って子どもたちとそのママやパパに勧められるプロダクトを発売することができるのは、私たちの想いに共感し、課題の解決策を探るためにともに試行錯誤を繰り返してくれた、生地メーカーや国内工場の皆さんの惜しみないご協力のおかげです。
まだ日本では子ども向けのウールの肌着は一般的ではありませんが、IKOU Merino Wool Undershirtが新たな選択肢となり、子どもたちの日常生活をより豊かにしていくことを目指して、これからもユーザーの皆さんの声を聴きながら、理想の生地の追求・商品のアップデートを続けていきます。